「別れさせ屋」は違法?合法?

2019.01.10

 前回、「別れさせ屋」についてご紹介させていただきました。
「別れさせ屋」は、男女の仲を裂くことを目的とした業種で、男女の仲を取り持つ結婚相談所やブライダルサロン等とは真逆の存在になります。では、第三者の依頼があったからといって、男女の仲を裂く行為は、法的に許される行為なのでしょうか。
今回は、2018年8月に判決が下った、別れさせ工作の法的問題点について、ご紹介したいと思います。 


1.別れさせ工作の争点
2018年8月29日、大阪地方裁判所で「別れさせ工作」に関する裁判がありました。その争点は、「別れさせ工作」が公序良俗に反するかどうか、という点で、1審である大阪簡易裁判所では、公序良俗に反しないとしていました。大阪地方裁判所では、その控訴審としてこの件を取り扱い、その結果としては「公序良俗に反しない」と、大阪簡易裁判所の判決を支持しました。
 
この裁判の一番の争点となったのは、「別れさせるために行った手段が公序良俗に反するのではないか」という点です。
では、どういう理由から公序良俗に反しないという結論が下されたのかというと、この件の別れさせ工作は、事前にお互いが未婚であることを確認したうえで、女性の工作員が、ターゲットの男性に接触し、ともに食事を行ったというもので、女性工作員とターゲットの男性の間には、それ以上の接触はなかったとのことです。最終的に、この女性工作員は、ターゲットの男性がお付き合いしている女性に、「男性が浮気している」ことを暴露し、結果として別れさせ工作は成功していますが、この一連の別れさせ工作については、あくまでターゲットの男性の自由意思に基づく行動であり、意思に反して接触しているわけではないという観点から、公序良俗ではないという判決を下しています。 


2.別れさせ工作は問題なし?
2018年8月という最近の裁判では、別れさせ工作は公序良俗に反しないという判決が下りました。しかし、それは、イコールすべての別れさせ工作が公序良俗に反しないというわけではなさそうです。第一に、この裁判の争点となったターゲットは、お互いに未婚の状態でした。つまり、これを既婚者だと知りつつ、既婚者に対して行った場合は、判決が異なる可能性があるということです。また、今回の事例は食事だけでしたが、実際にラブホテルに誘った、もしくは不貞行為があった場合にも、違った判決が下されることが考えられます。


様々な事情、強い思いで「男女の引き裂き」を願い、「別れさせ屋」を利用されているようですが、
実際に依頼する前に、今一度、本当に依頼すべきかをよく検討することをお勧めします。



総合探偵社KAY
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