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企業スパイ・産業スパイについて②

  産業スパイは、企業の内部から情報を漏洩させる必要があります。どうしても企業の内部に入り込まなければ集められない情報が多いため、産業スパイの多くは、内部犯となります。そこで今回は、内部犯による犯行を未然防止するための不正のトライアングルについてご説明します。

1.不正のトライアングルとは ?
不正のトライアングルとは、人が不正行為を行うために必要となる「動機」「機会」「正当性」の三要素のことをいいます。この不正のトライアングルである3つの要素が揃った場合に、不正が発生する、つまり、産業スパイとなって内部から情報を漏洩させることとなります。 

2.「動機」
不正を行うための動機がなければ、人はリスクを負って不正を犯すことはしません。この動機には、例えば、社内で正当に評価されていないことによる不満といった社内的に解決できるものの他、借金によるお金が必要である、といったプライベート的な内容も存在しますので、これを企業で完全にコントロールすることはできません。 

3.「機会」 
不正を行うためには、それが会社にバレないということが必須条件です。不正を行ったことが会社にバレた場合、懲戒処分がくだされることはもとより、それによって会社が被った損害の賠償責任を負う必要が生じます。そうなると、不正によって得た利益以上に、自らの損失が大きく、不正を行った「うまみ」がありません。
 
つまり、「機会」とは、不正を行っても会社にバレることがない機会のことを指します。例えば、機密情報に誰でもアクセスすることができるようになっており、情報を持ち出しても誰の仕業かわからないような環境にある場合や、退職した社員が機密情報にアクセスできるようになっている場合、不正を行う社員や元社員は、タイミングによっては、誰にもしられることなく情報を持ち出すことが可能となります。 
不正のトライアングルの中で、企業が主導的に対策を講じることができるのは、この「機会」の部分となります。 

4.「正当性」
企業スパイが情報を漏洩させる際に、その行為に対して自分が納得できる正当性が必要です。不正=悪という意識があった場合、ぎりぎりの部分で躊躇してしまいますが、不正を行うための、本人にとって正当な理由があると躊躇せずに情報を持ち出すことになります。
 
この正当性は、不正を行う社員が、自分自身の悪事に対する負の感情を少しでも緩和させることが目的となりますので、企業側で対策を打つことが難しい項目となります。 




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企業スパイ・産業スパイ

  「スパイ」と聞くと、国家間で機密情報を窃取するために暗躍する人を想像する方がほとんどではないでしょうか。しかし、スパイは国家間だけではなく、企業間での機密情報の窃取なども行います。
 
今回は、そんな企業を対象としたスパイである企業スパイ・産業スパイ(以下、まとめて企業スパイとします)について説明します。 

 1.企業スパイとは 
企業スパイとは、企業を対象に、情報を窃取する人のことを指します。企業スパイが狙う情報は、企業秘密と言われるような情報で、新商品に使われている技術はもちろんのこと、企業の財務情報などもターゲットになることがあります。
 スパイと聞くと、諜報活動に特化した専門的な人が行うことと考えがちですが、企業スパイについては、その会社に働いている人や退職した人が、企業スパイとなることが多々あります。例えば、2014年に発生したベネッセの顧客情報流出事件も、派遣社員による企業スパイ活動であったといえます。ベネッセの個人情報流出事件とは、2014年7月、ベネッセより3504万件の顧客情報が流出した事件で、当時、大きく取り上げられました。
 ベネッセの個人情報流出事件は、システム保守にかかわる部分を委託されていた会社に勤める派遣社員が、顧客のデータを取り出し、名簿業者へ販売していたという事件ですが、これも企業の秘密を外部に流出したという立派な企業スパイといえます。

2.企業スパイによる情報の窃取
企業スパイは、ベネッセのように自発的に情報を漏洩させるケースと、スパイ行為を行いたい人に依頼され、情報を漏洩させるケースが考えられます。いずれもスパイ行為を行う人の目的は金銭であることが多く、目先のお金につられて行動してしまう人によって、情報が窃取されてしまいます。いずれのケースも、企業スパイを行う人が、企業の機密情報を持っているという状況であれば、現職の従業員だけではなく、退職した従業員でも起こり得るという点に注意が必要です。
 
この予防方法としての基本的な考え方は、不正のトライアングルを発生させないという点が挙げられます。不正のトライアングルとは、人が不正行為を行うために必要となる「動機」「機会」「正当性」の三要素のことをいい、この3つが揃って初めて、人は不正を行うという考え方です。この3つの要素の1つでも阻害することができれば、企業スパイによる情報窃取は起こりにくいと考えることができます。



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