「熟年離婚」のメリットとデメリット

2019.02.15

  「旦那様の退職金や年金を分割してもらえるから離婚しても老後は安泰」と考えて、熟年離婚を決意される方が年々増加しているようです。しかし、本当にそうなのでしょうか。今回は、熟年離婚を行った時のメリットとデメリットについて、確認したいと思います。

1.熟年離婚のメリット
 「熟年離婚」を決意するということは、その結論に至った原因があるかと思います。例えば、パートナーとの性格や金銭感覚のズレ、男女問題(不貞行為)、家庭内暴力(DV)、などがあるかと思いますが、長年に渡るそれらのストレスから解放されるというのが一番のメリットとなります。これまでのしがらみから解放され、人生終盤に向けて新たな気持で進んでいく、また、新しい恋愛を始めることができるというのもメリットになる方もいるかもしれません。


2.熟年離婚のデメリット
一方、「熟年離婚」のデメリットは、世間体の悪さなどもありますが、それよりも「金銭的な問題」が非常に大きくなります。この金銭に関する問題について、誤解されることが多いケースをご紹介します。

①年金の分割
誤解の中で多いのは、「年金は、相手の受給額の半分を受け取れる」という考えです。まず、分割できる年金は「厚生年金」の部分だけで「国民年金」に該当する部分は分割できないのです。つまり、「受給額の半分」ではないのです。
また、分割されるのは婚姻期間のみですので、婚姻期間が短ければ短いほど、受け取れる金額は低くなります。例え相手が20万円受給していたからといって、決して10万円受給できるようになるわけではなく、7万円や6万円というケースも少なくないのです。

②財産分与
「婚姻期間中に得た財産は半分もらえる」という考えも少し危険な考えです。例えば、婚姻期間中に得た財産であっても、相手が相続した資産などについては、財産分与の必要がありません。つまり、パートナーが多額の遺産を受け取ったからと言って、そのお金を財産分与で得ることはできません。
また、共働きのケースや、相手の事業に協力していたようなケースですと、貢献度は50%から増減という考えになりますので、無条件で全財産の半分を分割してもらうということができなくなるケースもありますので注意が必要です。

このように、熟年離婚のメリットとしては、精神的な解放感等がありますが、そのデメリットとして金銭的な問題が残ってしまいます。特に、熟年世代ということで、これから老後の生活について考えていかなければならない時期に、収入が不安定になるデメリットを考えた場合、本当にその離婚を決断すべきかどうか、改めて考える必要があるかもしれません。



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