親権と監護権の違い

2020.03.12

  お子様がいる夫婦が離婚するとついてまわる問題が、お子様の養育に関する問題です。
一般的に、「親権」と呼ばれているものですが、実は子供の養育にかかる権利は親権だけではありません。 
今回は、子どもの養育に関する権利のうち、親権と監護権についてご説明します。 

1.親権
親権は、未成年の子どもを監護し、養育するための権利(もしくは義務)のことを言います。親権は、通常、父母が共同して行使することと民法に定められていますが、離婚によって共同で行使できなくなった場合、いずれかの親を親権者に定めることとなります。
親権の中には、以下の内容が含まれています。
①財産管理権
 子どもの財産を包括して管理するための権利です。この権利の中には、財産的な管理という意味と、法律行為の同意に関する権利が含まれています。つまり、子どものお金や契約に関する同意の権利が財産管理権になります。
②身上監護権
 子どもの住む場所を指定する権利、子どもに対してしつけをする権利、子どもが身分法上の行為を行うための同意や代理に関する権利、子どもが働くことに対して許可する権利などを包括して、身上監護権といいます。
  

2.監護権
上述したとおり、親権には「身上監護権」が含まれています。その親権に含まれている「身上監護権」だけを取り出したのが、「監護権」で監護権を有する人を監護権者といいます。
監護権は、親権に含まれていますので、通常は親権者が子どもの身上監護、つまり、子どもと一緒に暮らし、子どもの教育や世話を行うこととなりますが、親権者と監護権者を別にした場合、親権者が子どもの財産を管理し、監護権者が子どもの教育や世話を行うという分業となります。

原則、親権者と監護権者は同一であるほうが、子どもの福祉に資すると考えられます。
しかし、特別な理由がある場合、柔軟に対応できるようにするため、親権者と監護権者を分けることができるのです。例えば、離婚理由が妻の浪費が原因で離婚する場合、金銭的な問題で離婚には至りますが、子どもの教育に関しては普段から接している妻のほうが適しているという状況になります。この場合、子どもの財産は、浪費癖のある妻ではなく、旦那側に管理させるほうが良いため親権は父親に、しかし、子どもの教育や世話は妻が適しているため、監護権は母親に、というような権利のもたせ方も可能となります。
 
つまり、通常は財産も子どもの教育、世話も同一の親が実施すべきところ、何らかの事情によってそれが達せれない場合の対策として、監護権が認められるということになるのです。 


総合探偵社KAY
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