企業スパイ・産業スパイ

2022.08.15

  「スパイ」と聞くと、国家間で機密情報を窃取するために暗躍する人を想像する方がほとんどではないでしょうか。しかし、スパイは国家間だけではなく、企業間での機密情報の窃取なども行います。
 
今回は、そんな企業を対象としたスパイである企業スパイ・産業スパイ(以下、まとめて企業スパイとします)について説明します。 

 1.企業スパイとは 
企業スパイとは、企業を対象に、情報を窃取する人のことを指します。企業スパイが狙う情報は、企業秘密と言われるような情報で、新商品に使われている技術はもちろんのこと、企業の財務情報などもターゲットになることがあります。
 スパイと聞くと、諜報活動に特化した専門的な人が行うことと考えがちですが、企業スパイについては、その会社に働いている人や退職した人が、企業スパイとなることが多々あります。例えば、2014年に発生したベネッセの顧客情報流出事件も、派遣社員による企業スパイ活動であったといえます。ベネッセの個人情報流出事件とは、2014年7月、ベネッセより3504万件の顧客情報が流出した事件で、当時、大きく取り上げられました。
 ベネッセの個人情報流出事件は、システム保守にかかわる部分を委託されていた会社に勤める派遣社員が、顧客のデータを取り出し、名簿業者へ販売していたという事件ですが、これも企業の秘密を外部に流出したという立派な企業スパイといえます。

2.企業スパイによる情報の窃取
企業スパイは、ベネッセのように自発的に情報を漏洩させるケースと、スパイ行為を行いたい人に依頼され、情報を漏洩させるケースが考えられます。いずれもスパイ行為を行う人の目的は金銭であることが多く、目先のお金につられて行動してしまう人によって、情報が窃取されてしまいます。いずれのケースも、企業スパイを行う人が、企業の機密情報を持っているという状況であれば、現職の従業員だけではなく、退職した従業員でも起こり得るという点に注意が必要です。
 
この予防方法としての基本的な考え方は、不正のトライアングルを発生させないという点が挙げられます。不正のトライアングルとは、人が不正行為を行うために必要となる「動機」「機会」「正当性」の三要素のことをいい、この3つが揃って初めて、人は不正を行うという考え方です。この3つの要素の1つでも阻害することができれば、企業スパイによる情報窃取は起こりにくいと考えることができます。



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