誹謗中傷は許されない!改正プロバイダ責任制限法とは

2024.04.09

  前回記事の続きとなりますが、「ネット上の誹謗中傷」などを取り締まるべく、2022年にプロバイダ責任制限法が改正されました。今回は、そんなプロバイダ責任制限法についてご説明します。

1.プロバイダ責任制限法の目的
 プロバイダ責任制限法は、インターネット上の情報で権利の侵害が合った場合に、「プロバイダ」の損害賠償責任の制限、及び発信者情報の開示請求を目的に制定されました。昨今、X(旧Twitter)などで誹謗中傷された場合に、誹謗中傷した相手に損害賠償請求を行うため、発信者情報の開示請求を行うというケースは、この法律に基づき実施されています。

 もともとプロバイダ責任制限法は2001年に施行されましたが、旧法では、IPアドレスに基づく発信者情報の開示に限定されていましたが、昨今では情報発信の際にIPアドレスを保存しないケースやプロキシサーバやVPNといった技術でIPアドレスを変更することができることが多くなりました。また、Xなどのように、情報を発信するためにユーザ認証を必要とするサービスが増えてきたことから、IPアドレスだけではなく、これらのアカウントからも発信者情報を開示できるように変更となりました。
 この他、2001年当時よりもインターネットが社会に普及してきたこともあり、それに伴って権利侵害が増加、その種類も多岐に渡ることから、それらに対応するために2022年にプロバイダ責任制限法が改正されました。


2.プロバイダ責任制限法の2024年改正案
 プロバイダ責任制限法は、2024年にも改正する動きがあります。
今回の改正ポイントは以下の通りです。

①名称の変更
 プロバイダ責任制限法は、「情報流通プラットフォーム対処法」に名称(通称名)を変更することが提案されています。

②削除申出への対応
 これまでのプロバイダ責任制限法では、発信者情報の開示請求は充実していましたが、一度発信された情報の削除については、その迅速ではなく、対処を行っている間に、さらに情報が拡散されるということを防ぐことができませんでした。
そのため、改正案では、情報の削除申出への対応を迅速化するための対策が盛り込まれています。ただし、これはすべてのプラットフォームに適用されるわけではなく、大規模プラットフォーム事業者が対象となりますので、おそらくX(旧ツイッター)やLINEなどは対象となりますが、個人や小規模事業者が運営しているSNSには適用されません。
また、今回の改正では、命令違反に対する罰則等も盛り込まれる予定となっています。 




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