ネット上の誹謗中傷について
TwitterなどのSNSは簡単に情報発信できる一方で、心無い一言が大きな影響を与えるケースも多々あります。SNS等での誹謗中傷を行うことで、企業や人に対してどのような影響が有るのでしょうか。今回はそんなSNS等での誹謗中傷について見ていきたいと思います。
1.企業への風評被害
SNS等で書き込まれた一言は、あくまで1ユーザーの意見になりますが、「いいね」や「リツイート」といった周りの反響がダイレクトに返ってくるようなSNSの場合、物事を誇張したり、真実を曲げて発信することで、それらの反響を集め、承認欲求を満たそうとするケースがあります。
誹謗中傷も、それらの承認欲求を満たす行為の一つとして、使われることがあります。誹謗中傷の反響が大きくなるということは、多くの人がその誹謗中傷を見ることに繋がります。そこに書かれていることが真実であっても、そうでなくても、誹謗中傷を見た他のユーザーは、その企業に対し、悪い印象を持つようになってしまいます。これらを逆に活用し、好印象を与えるような情報を発信するステルスマーケティング(ステマ)という広報の方法があるくらい、SNS等による印象は大きなもので、何気ない一言が企業にとって大きなダメージを与えることにつながると言えます。
2.個人に対する影響
芸能人やYouTuberのように、様々な人に見られる仕事を行っている人は、SNSで話題にされることも多々あります。ここでも、何気ない誹謗中傷が大きな影響を持つことがあります。誹謗中傷のきっかけはさまざまですが、テレビでの発言等に不信感をもったユーザーが誹謗中傷し、周りがそれに同調することで、大きな影響をもつこともあります。
2020年に話題となったプロレスラーの木村花さんの自殺も、SNSによる誹謗中傷が原因であると言われていますが、SNS等での誹謗中傷は、対面で悪口を言われるのとは異なり、不特定多数の人から一方的に責め立てられていることは、自分の目ではっきり見て取れるという点が恐ろしいところです。
3.誹謗中傷の代償
書き込んだ人の意図が、自身の承認欲求のためか、単に意見を発信しただけかに関わらず、誹謗中傷を行った場合は、企業や人に対して、大小問わず悪い影響が発生します。それによって企業の売上低下や対象となった人の精神的ダメージによっては、誹謗中傷を書き込んだ人に対し、名誉毀損等の訴えを起こすことが可能となります。
誹謗中傷を行った人への賠償請求は、その手続きが大変ではありますが、内容次第によっては、
刑法上の名誉毀損罪(刑法230条第1項)や侮辱罪(刑法231条)、業務妨害罪(刑法233条)に該当することがあります。
2022年に施行された「改正プロバイダ責任制限法」により、以前より簡易かつ迅速な発信者情報開示が可能となったことで、匿名での誹謗中傷に泣き寝入りする人は減ってきています。また、2024年現在、さらなる改正案が上がっており、より迅速にネット上の誹謗中傷に対応できうる法整備ができつつあり、匿名だから安心、削除したから、伏字にしたから大丈夫等は通用しなくなりますので、一時の感情や、一方的な思い込み等で安易な誹謗中傷は書き込まないようにしましょう。
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